タイトルは未定

メンタルヘルス・マネジメント検定の備忘メモ(現在一部改修中)

安全配慮義務②

安全配慮義務について。(その 2 )

 

(おさらい)労働安全衛生法のなりたち

労働安全衛生法は従業員の安全・衛生問題に関する公法的規制としての法律です。

以前は「労働基準法」で労働者の健康や安全に関する規定を定めていましたが、社会や技術が大きく変わる中で労働安全衛生の問題が多発・複雑化することを受け、1972年に労働安全衛生法が制定されました。

労働基準監督署などの行政機関の監督を定め、違反した場合には刑事罰の対象となります。

omanjman.hatenablog.com

  

労働安全衛生法」OK ≠ 「安全配慮義務」OK

注意が必要なのは、たとえ事業者が労働安全衛生法(公法的規制)を遵守していたとしても、安全配慮義務(私法的規制)違反として損害賠償責任を問われる可能性があるということです。

前述のとおり、労働安全衛生法は「最低限の基準」を定めているに過ぎないため、これを満たしていたとしても、民事上の責任は満たすとは限りません。

「労働者の健康管理義務」は労働安全衛生法(公法的規制)ではなく、安全配慮義務(私法的規制)の対象です。 労働安全衛生法を遵守していたとしても、そこにのらない労働者の健康管理義務を怠ったと判断された場合、民事上の損害賠償責任を負担することになります。この場合、民法不法行為責任や契約責任に基づき、損害賠償の追求がなされます。

 

労働安全衛生法」違反 = 「安全配慮義務」違反?

前述のとおり、労働安全衛生法を遵守していたとしても、安全配慮義務違反として民法上の責任を問われる可能性があります。だからといって、安全配慮義務を検討するにあたり、労働安全衛生法は無関係で考慮しなくて良い、ということにはなりません。労働安全衛生法は最低限度の基準は定めているわけですから。

 

一方、労働安全衛生法に違反した場合、それが安全配慮義務違反になるのでしょうか。

 

厳密には、労働安全衛生法は国と企業との(公法上の)決まり事です。そのため、「労働安全衛生法を違反=安全配慮義務を違反」とスパッと言えるか否かについては論争があるようです。

それぞれ、成り立つ関係が異なります

「労働安全衛生法」違反 → 「安全配慮義務」違反といえないようにみえますが・・・

 

判例では、「直接すぐにイコールで結ぶわけにはいかないけど、そもそも労働安全衛生法は労働者の安全と衛生を守るためのものなので、性質上、その規定の多くは安全配慮義務を定める基準となるんじゃないの」というような立場のものが多いようです。

ということで、個々の規定を十分に検討して各々の具体的なケースを判断する(ケースバイケース)、ということになるようです。

 

 

関連記事

omanjman.hatenablog.com

omanjman.hatenablog.com

omanjman.hatenablog.com