職業性ストレスモデル
職業性ストレスモデルについて。
NIOSHによる職業性ストレスモデル
NIOSH; National Institute for Occupational Safety and Health(国立労働安全衛生研究所)は、アメリカの労働安全衛生に関わる研究や教育、研修などの普及活動を行う組織です。労働安全衛生に関わる様々な提言や研究を行い、この分野をリードする存在のひとつともいえるでしょう。
NIOSHが作成した「職業性ストレスモデル」は、広く参考にされているものです。
「職場のストレッサー」が「急性ストレス反応」を引き起こします。※このページの図はこころの耳*1を参考に作成(NIOSHのページはこちら)
個人的要因
「個人的要因」は、そのストレス反応に影響を及ぼす要素の一つです。
個人的要因には、このようなものがあるとされています。
- 年齢
- 性別
- 結婚生活の状況
- 雇用保証期間
- 職種(肩書)
- 性格(タイプA)※
- 自己評価(自尊心)
※タイプA:性格や行動タイプのこと。タイプAは、攻撃的、野心的、精力的、競争心・出世欲が強い、せっかちな性格・行動特性。虚血性心疾患のリスク因子の一つでもあるそう。ちなみに、タイプBはマイペース、リラックス、非攻撃的(タイプAの逆)。タイプCは真面目、几帳面、自己犠牲的、我慢強い、控えめ(いわゆる”良い子”、がんリスク因子の一つなんだとか)
つまり、同じ仕事のストレッサーを受けても(例えば大量の仕事をふられたり)、その影響(ストレス反応)は、人によってー例えば男女によって異なるということです。また、性格や自己評価の高い・低いによってもその影響が異なりますが、これは経験的にも理解しやすいものがあります。
ひとつ興味深いのは、「結婚生活の状況」も「個人的要因」に入っているということです。「結婚生活の状況」とは、夫婦仲や家族仲などでしょうか、これがストレス反応に影響を及ぼすということです。
その他の要因
急性ストレス反応に影響を及ぼすものとして、「個人要因」の他にも「業務以外のストレッサー」(「仕事以外の要因」)や「緩衝要因」があります。
直接的なストレッサーは仕事に関わるものだとしても、その背景にプライベートでのトラブルや悩みごとを抱えている場合はよりストレスフルに感じることもあるでしょう。また逆に、同僚や家族がサポートしてくれる、趣味でスポーツをしているなどの場合、急性ストレス反応が出にくい、または少なくります。(つまり緩衝要因は抑制的に働く)
”ストレスは、人によって、置かれている状況や環境によって違う。様々な要因が絡んでいる” ということですね。当たり前と言えば当たり前のことですが、ストレスによる心身や業務への影響を、事前もしくは悪化前に防止・抑制するためには、これらの要素を理解しておくことは大切です。
ストレスから疾患へ
なお、急性ストレス反応が出ても適切な対応ができずにそれが蓄積・増加した場合、疾患につながる恐れがあります。
急性ストレス反応と同様、疾病の症状は人によって様々。
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