職務再設計
職務再設計(主に)、職務拡大、職務充実について。
職務再設計とは
職務再設計(Job Redesign)とは、その名の通り、仕事内容の見直し、作り直しです。
これはQWL(Quality of Work Life)の議論と同時期に発生した考えで、1960〜70年代戦後経済成長を迎えたヨーロッパやアメリカで盛んに研究されました。
舞台は自動車製造工場など、主にベルトコンベアなどがある大量生産の現場です。そこで働く労働者は仕事への意欲の減退、不満が見られていました。(具体的にはミス、作業効率の減退、欠勤や転職、サボり、ストなど)
当時の New York Times に "Blue Collar Blues" (ブルーカラー・ブルーズ)という記事が出ています(1970年9月9日)*1。
「ブルーカラー・ブルーズ」は当時流行った言葉でもあったようで、1960年代から経済成長とともに所得を増加させてきた白人のブルーカラーは、その後中産階級へとなったのにも関わらず不満を抱えている、というもののようです。記事では、1970年代のオイルショックに加え、女性や有色人種、移民の労働市場への進出と白人以上の収入増加率などがその不満の原因として分析されていますが、ベルトコンベアでの単純・単調で退屈な仕事の内容というのも ”ブルーズ” の原因という見方がありました。
そこで、最新機械が導入され効率的であったとしても人間にとっては単調であった仕事内容を改めて設計し直し「労働の人間化」を図る施策、つまり職務再設計が研究されました。そのため、当時の職務再設計は、労働者のモチベーションアップを主眼としています。(さらにいうと、不満の高い労働者の欠勤、離職、サボりやデモ等を低減することによって製造の滞りを無くし、生産量・生産性向上を図りたい、という事業者側の意図があります)
現在では、労働者個人のモチベーションアップはもちろんのこと、企業における生産性向上、業務最適化といった両者にとってのメリットを狙うものとなっているようです。
また、高齢者や障害者の働く上での働きやすさ、成果の出しやすさを狙った職務再設計の取り組みも多くあるようです。*2
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職務拡大・職務充実
職務拡大は、仕事の数や種類を広げることです。言うなれば職務領域を水平方向へ拡大するイメージです。
一方、職務充実は、仕事の質を高めることです。裁量権の調整により仕事のコントロール感を高める効果が期待できます。「職務拡大」と対比するならば、職務領域を垂直方向へ拡大するイメージです。
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タスク特性研究
タスク特性研究とは、「どのような職種や仕事内容が、労働者の高い満足度や低い欠勤率をもたらすのか?」を研究したものです。
それによると、従業員のモチベーション、満足感、業績、離転職行動に影響する重要なファクターは以下の5つとされました。
- スキル多様性
- タスク一体性
- タスク重要性
- 自律性
- フィードバック
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